ここにいる仲間たちは、それぞれ自分たちの色を持っています。誰もが誰もを羨まず、それぞれが気ままに自分の人生を歩んでいます。ひとつ共通している部分があるとすれば、一本歯下駄を楽しんでいることと、社会が少しでもよくなったらという思いです。一本歯下駄を通して、少しでも困っていた人の力になれたらと学び、体験し、協力しあっています。
一本歯下駄を長年続け、多くの人の「まなざし」の変容、身体への視点の「深み」への変化を見てきました。一つの答えや考えを絶対的なものとするのではなく、自分自身の身体性を上げることで感じていく「世界」を深めていく。すると「ちょっとした違い」「ちょっとした変化」に気づけるようになって、色んなものが面白く、そして組み合わさっていくようになります。
子どもたちの成長、家族のしあわせ、地域や人々のしあわせを形成していく一つに環境があります。その環境の要素として「社会関係資本」と「文化資本」に特に着目して活動しています。「社会関係資本」としての人と人とのつながりや信頼関係。「文化資本」としては、何か一つのことを極めていく過程、文化の伝承の過程の中にある「間」と「型」に特に着目しています。競技の中にある「間」を獲得するための考え方を身につけた仲間を一本歯下駄認定インストラクターと呼んでいます。多くのアスリートと交流している中で「間」を持つアスリートは、共通して「穏やかさ」と「アイデア力」を持っていました。「間」がスポーツをはじめとした競技の世界だけでなく、色んな生活シーンにあったならば、世界は今よりも少し優しくなっていくような気がします。