日本のソーシャルデザインを、分野からたどる。
社会の課題は、暮らしのあらゆる面に現れます。192件の実践を13の分野に分け、それぞれの役割・時代の広がり・代表的な仕事を一望できるようにしました。分野名をクリックすると、その分野へジャンプします。
まちづくり・地域再生
人口減少や中心市街地の衰退に向き合い、住民が主体となって土地の資源と関係を編み直す。日本のソーシャルデザインのもっとも大きな現場です。
由布院温泉のまちづくり(中谷健太郎)
住民主導で、静かな温泉保養地をつくる
白川郷の『結』
助け合い『結』が、合掌造りの集落を守る
一村一品運動(平松守彦)
一つの村に、一つの誇れる品を育てる
小布施町(町並み修景)
住民と進める、暮らしながらの町並みづくり
内子町(町並み保存)
木蝋で栄えた町並みを、住民が守り活かす
東川町(写真の町)
『写真の町』を掲げ、文化で人を呼ぶ
社会起業・ソーシャルビジネス
寄付や行政に頼り切らず、事業の仕組みそのもので社会課題の解決を持続させる。経済合理性と社会善を両立させようとする挑戦の領域です。
渋沢栄一(道徳経済合一)
『論語と算盤』——道徳と経済は両立する
賀川豊彦(協同組合運動)
貧民街から始まった、相互扶助と協同組合
大原孫三郎(社会事業・大原美術館)
事業の利益を、社会と文化へ還す実業家
ETIC.
若い社会起業家を生み育てる、日本の土壌
スマイルズ / 遠山正道
Soup Stock Tokyo——『生活価値の拡充』を事業に
テラ・ルネッサンス
地雷・子ども兵のない世界を、現場から
デザイン思想・方法
ソーシャルデザインを根底で支える思想・概念・方法。三方よしのような源流の理念から、実践を導く現代の枠組みまでを収めます。
近江商人『三方よし』
売り手よし・買い手よし・世間よし——商いの三方よし
二宮尊徳(報徳仕法)
勤労・分度・推譲で、荒れた村を立て直す
柳田國男(民俗学)
名もなき人々(常民)の暮らしを学問にした
民藝 / 柳宗悦
無名の職人の日用品にこそ、健全な美が宿る
考現学 / 今和次郎
いまの暮らしを、そのまま観察し記録する
柳宗理
手の感覚から生まれる、用のための工業デザイン
教育・子ども
学校の枠を超え、探究・自然・地域・居場所を通じて子どもの育ちを支える。学びのかたちそのものを問い直す試みが集まります。
山村留学
都市の子が、農山村で暮らして育つ
羽根木プレーパーク(冒険遊び場)
『自分の責任で自由に遊ぶ』子どもの広場
久高島留学センター
神の島で、子どもが一年間暮らして学ぶ
東京シューレ / 奥地圭子
学校に行かない子の、もう一つの居場所
森のようちえん
自然そのものを、保育と学びの場にする
カタリバ
『ナナメの関係』で、子どもの意欲に火を灯す
福祉・ケア
高齢・障害・困難を抱える人を「管理」ではなく、その人らしい暮らしから支える。地域に開かれたケアへと福祉を設計し直す領域です。
べてるの家
『弱さ』を中心に置く、精神障害者の共同体
宅老所よりあい(村瀬孝生)
施設でなく『普通の暮らし』を支える介護
スワンベーカリー / 小倉昌男
障害者がまっとうな賃金で働けるパン屋
当事者研究
自分の苦労を、自分自身で研究する
もやい / 湯浅誠
貧困を『自己責任』にしない、つながりの再生
ビッグイシュー日本
雑誌を売る『仕事』で、ホームレスの自立を支える
アート・文化
芸術祭や文化施設を通じて、地域の記憶・誇り・交流を再生する。アートを鑑賞の対象から、社会と暮らしを編み直す力へと広げます。
宮沢賢治(羅須地人協会)
『農民芸術概論』——農と芸術が一つになる暮らし
石牟礼道子『苦海浄土』と水俣
公害の極限を、命の言葉として記録する
利賀・SCOT(鈴木忠志)
山あいの村を、世界演劇の拠点にする
富良野塾(倉本聰)
自然の中で、表現と暮らしを学ぶ私塾
ベネッセアートサイト直島 / 福武總一郎
産業廃棄物の島を、現代アートの聖地に
取手アートプロジェクト
大学・市民・行政が組む、まちのアート
SOCIAL DESIGN, EMBODIED ── 身体から始まる社会デザイン
日本のソーシャルデザインDBが動かしたのは制度ではなく、人の身体だった。
社会デザインの最小単位は、共に立つ身体である。
一本の歯は、身体から始まる社会デザインの実験装置。
コミュニティデザイン
建物や空間ではなく、人と人のつながり・関わりそのものを設計する。場や仕組みを通じて、関係を育てる営みです。
コミュニティデザイン(日本)
空間でなく、人がつながり続ける仕組みをつくる
西村佳哲
『自分の仕事をつくる』——つくり手の姿勢を問う
山納洋 / common cafe
場を『運営する人』を増やす、カフェの実験
山崎亮 / studio-L
『つくらない』デザイン——人のつながりを設計する
影山知明 / クルミドコーヒー
『ゆっくり、いそげ』——一杯から始まる地域経済
兼松佳宏(YOSH)
『be の肩書き』——あり方から始まる関わり
食・農
有機農業・産直・農福連携など、食と農を通じて作り手と食べ手、地域と都市を結び直す。暮らしの根である「食べる」を社会へ開きます。
福岡正信
『わら一本の革命』——耕さない自然農法
大地を守る会(藤田和芳)
有機農業の産直で、作り手と食べ手を結ぶ
馬路村ゆず(農協ブランド)
過疎の村の農協が、ゆずで全国に届く
セカンドハーベスト・ジャパン
余る食と、足りない人をつなぐフードバンク
食育基本法(2005)
食を通じた学びを、社会の基盤に位置づける
四万十ドラマ(畦地履正)
『ローカル×ローカル』で地域資源を商品に
工芸・地場産業
衰退する地場産業や職人の技を、デザインと販路で現代の市場に立たせる。土地に根ざした手仕事を未来へつなぐ領域です。
読谷やちむんの里
陶工が集い、共同の窯で焼物文化を守る
三州足助屋敷
手仕事が生きている、暮らしの博物館
D&DEPARTMENT / ナガオカケンメイ
『ロングライフデザイン』——長く愛される物を伝える
中川政七商店 / 中川淳
『日本の工芸を元気にする!』を掲げる地場産業の再生
石巻工房
震災のDIYから生まれた、世界に届く家具
セメントプロデュースデザイン(金谷勉)
中小の町工場と、売れるものづくりをつなぐ
インクルージョン
障害・難民・性のあり方など、これまで社会の「外」に置かれてきた人を、支援の対象でなく担い手として迎え入れる試みです。
点字ブロック / 三宅精一
視覚障害者の足もとを守る、日本生まれの発明
エイブル・アート・ムーブメント(播磨靖夫)
障害のある人の表現を、芸術として解き放つ
ダイアログ・イン・ザ・ダーク
暗闇で、視覚障害者が案内役になる体験
ユニバーサルデザイン(日本の展開)
特別扱いでなく、最初から多くの人が使える設計
日本ブラインドサッカー協会
見えなくてもできる——混ざり合うスポーツ
ミライロ / 垣内俊哉
『バリアバリュー』——障害を価値に変える
メディア・シビックテック
地域の情報や市民の力を、メディアやテクノロジーで可視化し、つなぐ。社会課題への関心と参加の入口をつくります。
ソトコト / 指出一正
ローカルと関係人口を伝える、社会派の雑誌
みんなの経済新聞ネットワーク
まちの経済・文化を、地域の手で伝える
greenz.jp / 鈴木菜央
『ほしい未来は、つくろう』——実践を伝える場
シブヤ大学 / 左京泰明
まちぜんぶがキャンパスになる、生涯学習の場
日本仕事百貨 / ナカムラケンタ
『生きるように働く』仕事との出会いをつくる
リディラバ(安部敏樹)
社会課題の現場を旅し、無関心を打ち破る
環境・循環
ごみ・エネルギー・森林・食を「捨てる」前提から「循環させる」前提へ。暮らしと地球の関係を設計し直す領域です。
綾町(自然生態系農業)
照葉樹林とともに、有機農業のまちを育てる
地域通貨(エコマネー)
地域の中で循環する、もう一つのお金
上勝町ゼロ・ウェイスト宣言
ごみ焼却ゼロを、自治体として宣言する
大崎町(鹿児島・リサイクル)
焼却炉を持たず、分別で資源を回す町
枝廣淳子
システム思考で、持続可能性と地域の未来を描く
more trees / 坂本龍一
音楽家が始めた、森と人をつなぐ森林保全
行政・公共・制度
制度・政策・公共サービスそのものをデザインの対象とし、社会の土台を住民の目線で組み替える試みが集まります。
グッドデザイン賞(地域・社会領域)
社会的な取り組みを『デザイン』として評価する
道の駅
沿道に、地域の交流と物産の拠点をつくる
ボランティア元年(1995)
阪神・淡路大震災が開いた、市民活動の扉
武蔵野市ムーバス(コミュニティバス)
高齢者や歩行者の足を、小型バスで支える
特定非営利活動促進法(NPO法)
市民活動に、法人格という土台を与えた
富山市コンパクトシティ(森雅志・LRT)
公共交通を軸にした『串と団子』のまち
TRANSFERABLE CULTURAL CAPITAL ── 転移する文化資本の実践
身体から始まる社会デザインの、最小単位。
一足を置いた場所から、共同体の身体文化が転移する。
家庭に、教室に、地域に。


