サッカーのビジョントレーニングボールを見ながら、ボールを見ていない。周辺で味方と敵を取れる選手だけが、次の一手を先に持っている。
- サッカーで最も効くのは周辺視野です。ボールを中心視に置いたまま、味方と敵の位置を周辺で取れるかどうかで、判断の速さが決まります。
- 首を振って確認する回数が多い選手は、確認のたびに視覚が途切れます。周辺で取れる範囲が広いほど、首を振る回数は減ります。
- 守備ではフェイントに釣られない抑制、走りながらの見る力には固視安定。攻守で章が分かれます。
首を振る回数が多い選手ほど、遅い
良い選手は首を振って周囲を確認する、とよく言われます。それ自体は正しい。ただし観察すると、本当に良い選手は首を振る回数が少なく、一回の確認で多くを取っています。首を振るたびにサッケードが起き、その間の視覚は抑制されます。確認の回数が多い選手は、それだけ視覚が途切れています。理想は、ボールを中心視に置いたまま、周辺で味方と敵の位置を取れる状態です。
周辺視野は、動きと位置を取ることに特化した視野です。誰がどこにいるか、誰が動き出したかは周辺視野で十分に取れます。有効視野が広い選手は、首を振らずにパスコースを見つけます。逆に有効視野が狭い選手は、確認のために首を振り、その一瞬でコースが消える。試合終盤にパスミスが増えるのは、疲労で有効視野が狭まるためです。
守備では別の能力が主役になります。相手のフェイントに眼が釣られると、身体も釣られます。動いた足やボールを見ずに、腰の一点を見続ける抑制の力です。そして攻守を問わず、走りながら見る場面では固視安定が必要になります。頭が上下に揺れる中でボールと相手を見続けるのは、前庭動眼反射の精度です。
サッカーのビジョントレーニングトレーニングのやり方 5ステップ
ボールを見たまま周辺を答える
ボールを足元で扱いながら、周辺で仲間が上げた指の数を答える。中心視はボール、周辺で人を取る。
顔を上げる回数を数える
パス回しの中で、顔を上げて確認した回数を数える。回数を減らしながら判断の質を落とさない。
腰を見る
一対一の守備で、相手の足やボールではなく腰の一点を見続ける。フェイントに釣られた回数を記録する。
走りながら固視
ジョギングしながら前方の一点を見続ける。頭が揺れる中で像がぶれない速さを上げる。
不安定な足元で
一本歯下駄の上でボールを持ち、周辺の仲間の動きを答える。足元・ボール・周辺の三つを同時に処理する。
その誤りは、何のサインか
首を振ることが目的化
確認は多いが判断が遅い
周辺で取れる範囲を広げる。首を振る回数は減るのが正解
守備で足を見る
フェイントに毎回釣られる
腰の一点を見続ける。動いたものを見ない練習を入れる
止まった状態だけで練習
走ると見えなくなる
固視安定を加える。走りながら見る練習を必ず入れる
ピッチが、一つの身体になる
周辺で仲間を取れる選手が複数いるチームでは、パスが出る前に受け手が動き、動く前にコースが空いています。個々の判断の速さでは説明できない同期が起きている。基準となる身体が複数集まったとき、フィールドが一つの生き物のように動き始める。カオス共鳴の現象は、チームスポーツの連携そのものです。
一本歯下駄GETTAで複数人が同じリズムで歩くと、足元の不安定さの中で周期が揃っていきます。連携の土台は、この同期の経験にあります。
一本歯下駄GETTA × サッカーのビジョントレーニング
この章の練習は、椅子に座った状態では眼と姿勢の連結が入りません。立位で、できれば一本歯下駄の上で行ってください。足裏一点の揺れが前庭系と視覚系を同時に働かせ、画面上の練習を競技の条件に近づけます。一本歯下駄GETTAは兵庫医科大学との共同研究で、動作速度15.1%の向上と反応時間0.10秒の短縮が確認されています。
ウォームアップ
一本歯下駄で立ち、正面を固視したまま周辺の物の名前を挙げる。30秒。
本練習
一本歯下駄でボールを持ち、仲間の指の数を答える。2分。
守備へ
一本歯下駄で立ち、相手のフェイントに対して腰を見続ける。
12週統合プロトコル
| 期間 | 内容 |
|---|---|
| 第1〜2週 | 周辺視野(No.02)を画面で。毎日5分 |
| 第3〜4週 | ボールを扱いながら周辺を答える。顔を上げた回数を記録 |
| 第5〜8週 | 抑制(No.10)と固視安定(No.09)。一本歯下駄で半分 |
| 第9〜12週 | 一本歯下駄で全量。対人の守備練習 |
サッカーのビジョントレーニングのよくある質問
周辺視野が広い選手は生まれつきですか
網膜上の視野は変わりませんが、注意を配って情報を取り出せる有効視野は訓練で広がります。ボールを扱いながら周辺を答える練習を毎日続けると、首を振る回数が減っていきます。
ゴールキーパーはどの章を使いますか
シュートへの反応はサッケードと反応速度、クロスの落下点は深視力、シュートフェイントには抑制。キーパーは複数の能力を高い水準で要求されるポジションです。
小学生のサッカーにも使えますか
使えます。ボールを見たまま周辺の指の数を答える練習は、遊びとして行えます。首を振る回数を数えるのは高学年以降で十分です。
一次資料と参照先
- 日本スポーツビジョン研究会スポーツにおける視覚機能の測定と訓練の研究組織
- American Optometric Association1978年にスポーツビジョン部門を設置した米国検眼協会
- 視覚と眼球運動の身体科学(身体科学フロンティア図鑑)本章の科学的背景。前庭動眼反射、感覚再重み付け、クワイエットアイを扱う姉妹章
本章の数値は一般に報告されている目安であり、測定条件と個人差で変動します。眼の症状や、めまいの症状がある方は実施前に医療機関に相談してください。効果を保証するものではありません。