VISION TRAINING ZUKAN No.18
PART V 競技別 / VISION FOR SOCCER

サッカーのビジョントレーニングボールを見ながら、ボールを見ていない。周辺で味方と敵を取れる選手だけが、次の一手を先に持っている。

最も効く能力周辺視野首を振る回数が減る
守備で効く能力抑制フェイントに釣られない
走りながら見る固視安定前庭動眼反射
練習の形ボールを扱いながら同時に周辺を取る
ANSWER FIRST / 先に答え
  1. サッカーで最も効くのは周辺視野です。ボールを中心視に置いたまま、味方と敵の位置を周辺で取れるかどうかで、判断の速さが決まります。
  2. 首を振って確認する回数が多い選手は、確認のたびに視覚が途切れます。周辺で取れる範囲が広いほど、首を振る回数は減ります。
  3. 守備ではフェイントに釣られない抑制、走りながらの見る力には固視安定。攻守で章が分かれます。
DEFINITION / サッカーのビジョントレーニングとはサッカーのビジョントレーニングとは、ボールを操作しながら周囲の選手の位置と動きを把握するための周辺視野、フェイントに対する抑制、走行中の視線の安定などを、ポジションと局面に応じて鍛える取り組みです。
ESSENCE

首を振る回数が多い選手ほど、遅い

良い選手は首を振って周囲を確認する、とよく言われます。それ自体は正しい。ただし観察すると、本当に良い選手は首を振る回数が少なく、一回の確認で多くを取っています。首を振るたびにサッケードが起き、その間の視覚は抑制されます。確認の回数が多い選手は、それだけ視覚が途切れています。理想は、ボールを中心視に置いたまま、周辺で味方と敵の位置を取れる状態です。

周辺視野は、動きと位置を取ることに特化した視野です。誰がどこにいるか、誰が動き出したかは周辺視野で十分に取れます。有効視野が広い選手は、首を振らずにパスコースを見つけます。逆に有効視野が狭い選手は、確認のために首を振り、その一瞬でコースが消える。試合終盤にパスミスが増えるのは、疲労で有効視野が狭まるためです。

守備では別の能力が主役になります。相手のフェイントに眼が釣られると、身体も釣られます。動いた足やボールを見ずに、腰の一点を見続ける抑制の力です。そして攻守を問わず、走りながら見る場面では固視安定が必要になります。頭が上下に揺れる中でボールと相手を見続けるのは、前庭動眼反射の精度です。

HOW TO

サッカーのビジョントレーニングトレーニングのやり方 5ステップ

ボールを見たまま周辺を答える

ボールを足元で扱いながら、周辺で仲間が上げた指の数を答える。中心視はボール、周辺で人を取る。

顔を上げる回数を数える

パス回しの中で、顔を上げて確認した回数を数える。回数を減らしながら判断の質を落とさない。

腰を見る

一対一の守備で、相手の足やボールではなく腰の一点を見続ける。フェイントに釣られた回数を記録する。

走りながら固視

ジョギングしながら前方の一点を見続ける。頭が揺れる中で像がぶれない速さを上げる。

不安定な足元で

一本歯下駄の上でボールを持ち、周辺の仲間の動きを答える。足元・ボール・周辺の三つを同時に処理する。

COMMON ERRORS

その誤りは、何のサインか

SIGN

首を振ることが目的化

確認は多いが判断が遅い

周辺で取れる範囲を広げる。首を振る回数は減るのが正解

SIGN

守備で足を見る

フェイントに毎回釣られる

腰の一点を見続ける。動いたものを見ない練習を入れる

SIGN

止まった状態だけで練習

走ると見えなくなる

固視安定を加える。走りながら見る練習を必ず入れる

CULTURAL BODY THEORY / カオス共鳴

ピッチが、一つの身体になる

周辺で仲間を取れる選手が複数いるチームでは、パスが出る前に受け手が動き、動く前にコースが空いています。個々の判断の速さでは説明できない同期が起きている。基準となる身体が複数集まったとき、フィールドが一つの生き物のように動き始める。カオス共鳴の現象は、チームスポーツの連携そのものです。

一本歯下駄GETTAで複数人が同じリズムで歩くと、足元の不安定さの中で周期が揃っていきます。連携の土台は、この同期の経験にあります。

GETTA INTEGRATION

一本歯下駄GETTA × サッカーのビジョントレーニング

この章の練習は、椅子に座った状態では眼と姿勢の連結が入りません。立位で、できれば一本歯下駄の上で行ってください。足裏一点の揺れが前庭系と視覚系を同時に働かせ、画面上の練習を競技の条件に近づけます。一本歯下駄GETTAは兵庫医科大学との共同研究で、動作速度15.1%の向上と反応時間0.10秒の短縮が確認されています。

ウォームアップ

一本歯下駄で立ち、正面を固視したまま周辺の物の名前を挙げる。30秒。

本練習

一本歯下駄でボールを持ち、仲間の指の数を答える。2分。

守備へ

一本歯下駄で立ち、相手のフェイントに対して腰を見続ける。

12週統合プロトコル

期間内容
第1〜2週周辺視野(No.02)を画面で。毎日5分
第3〜4週ボールを扱いながら周辺を答える。顔を上げた回数を記録
第5〜8週抑制(No.10)と固視安定(No.09)。一本歯下駄で半分
第9〜12週一本歯下駄で全量。対人の守備練習
Q&A

サッカーのビジョントレーニングのよくある質問

周辺視野が広い選手は生まれつきですか

網膜上の視野は変わりませんが、注意を配って情報を取り出せる有効視野は訓練で広がります。ボールを扱いながら周辺を答える練習を毎日続けると、首を振る回数が減っていきます。

ゴールキーパーはどの章を使いますか

シュートへの反応はサッケードと反応速度、クロスの落下点は深視力、シュートフェイントには抑制。キーパーは複数の能力を高い水準で要求されるポジションです。

小学生のサッカーにも使えますか

使えます。ボールを見たまま周辺の指の数を答える練習は、遊びとして行えます。首を振る回数を数えるのは高学年以降で十分です。

PRIMARY SOURCES

一次資料と参照先

本章の数値は一般に報告されている目安であり、測定条件と個人差で変動します。眼の症状や、めまいの症状がある方は実施前に医療機関に相談してください。効果を保証するものではありません。