BRAIN TRAINING ZUKAN No.B13
PART II 制御 / DECISION MAKING & INTUITION

意思決定と直感速い判断と正しい判断は、同じ回路から出ていない。どちらを使うべき場面かを、先に決めておく。

判断の回路2つ速い思考・遅い思考
直感が当たる条件経験+フィードバック領域に依存
本番で速くする事前の枠組み考える量を減らす
疲労時速い思考に偏る誤りが増える
ANSWER FIRST / 先に答え
  1. 判断には二つの回路があります。瞬時に答えが浮かぶ速い思考と、手順を踏んで考える遅い思考です。どちらが優れているかではなく、場面で使い分けます。
  2. 直感が当たるのは、その領域で十分な経験を積み、結果のフィードバックを受けてきた場合だけです。経験のない領域での直感は錯覚を起こしやすい。
  3. 判断を速くする最も確実な方法は、判断の枠組みを事前に決めておくことです。本番で考える量を減らします。
DEFINITION / 意思決定と直感とは意思決定における直感とは、経験によって蓄積されたパターン認識が意識的な推論を経ずに答えを出す働きで、十分な経験と適切なフィードバックのある領域では有効に機能し、それ以外では系統的な誤りを生じやすいと考えられています。
ESSENCE

直感は、経験のある領域でしか当たらない

人の判断には二つの回路があると考えられています。一つは、状況を見た瞬間に答えが浮かぶ速い思考。もう一つは、手順を踏んで根拠を検討する遅い思考です。競技中の瞬時の判断はほぼ速い思考で行われ、重要な契約や進路の決定は遅い思考で行うべきものです。どちらが優れているかではなく、場面に合った回路を使えているかが問題になります。

速い思考が出す直感は、その領域で十分な経験を積み、しかも結果のフィードバックを受けてきた場合に限って信頼できます。何千回と打席に立ち、結果を見てきた打者の直感は当たる。一方で、経験のない領域や、結果がすぐに返ってこない領域では、直感は自信だけが高く精度は低いという状態になりやすい。自分の直感がどの領域で鍛えられたものかを知っておくことが、判断の質を決めます。

本番で判断を速くする最も確実な方法は、判断を速くする練習ではなく、本番で考える量を減らすことです。この局面ではこう動く、この条件ならこの選択、という枠組みを事前に決めておく。枠組みがあれば速い思考で処理でき、枠組みの外の事態だけに遅い思考を使えます。熟練者の判断が速く見えるのは、考えていないのではなく、事前に考え終えているからです。

HOW TO

意思決定と直感を鍛える 5ステップ

判断を分類する

日常と競技の判断を、速い思考で済ませてよいものと、遅い思考で扱うべきものに分ける。分類そのものが判断の質を上げる。

直感の領域を確認する

自分の直感が当たってきた領域と外れてきた領域を書き出す。経験とフィードバックのある領域だけを信頼する。

枠組みを事前に決める

競技の局面ごと、仕事の場面ごとに「この条件ならこうする」を決めておく。本番で考える量を減らす。

結果を記録する

直感で決めた判断の結果を記録する。フィードバックの無い直感は鍛えられない。

疲労時の判断を見直す

疲れているときは速い思考に偏り誤りが増える。重要な判断は疲労時に行わないと決めておく。

COMMON ERRORS

その誤りは、何のサインか

SIGN

すべてを直感で決める

経験のない領域で外れる

直感の領域を限定する。外は遅い思考で

SIGN

本番で考える

判断が遅れる

枠組みを事前に。本番は枠組みの外だけ考える

SIGN

結果を見ない

直感が鍛えられない

判断と結果を対にして記録する

CULTURAL BODY THEORY / 衝動と探求の転倒

決めているのは、身体である

熟練者の速い判断を内側から見ると、判断していません。身体が動いてから、なぜそう動いたかがわかる。衝動が先で、探求は後です。この衝動と探求の転倒が起きている領域では、直感は当たります。起きていない領域で直感を使うと、それはただの思いつきになります。

一本歯下駄GETTAの上では、判断する時間がありません。揺れに対して身体が先に動かなければ落ちる。判断が身体に移るとはどういうことかを、この道具は毎回教えます。

GETTA INTEGRATION

一本歯下駄GETTA × 意思決定と直感

脳の機能は、机の前に座った状態でだけ働くわけではありません。実際に使う場面では常に身体が動いています。この章の練習も、立って、できれば足元が不安定な条件で行うと、実生活と競技に近い形になります。一本歯下駄GETTAは兵庫医科大学との共同研究で、動作速度15.1%の向上と反応時間0.10秒の短縮が確認されています。

ウォームアップ

一本歯下駄で立ち、揺れへの反応を大脳で管理せず任せる。30秒。

本練習

一本歯下駄の上で、左右に現れる標的に即座に手を出す。判断を身体に渡す練習。

競技へ

一本歯下駄で立ち、相手の予備動作から先に動く。事前の枠組みを身体で運用する。

12週統合プロトコル

期間内容
第1〜2週判断の分類と直感の領域の確認。毎日10分
第3〜4週競技と仕事の枠組みを決めて書き出す
第5〜8週結果の記録。一本歯下駄で反応課題
第9〜12週実場面で枠組みを運用し、外れた場合を記録
Q&A

意思決定と直感のよくある質問

直感は鍛えられますか

経験とフィードバックのある領域では鍛えられます。判断と結果を対にして記録し続けることが唯一の方法です。結果が返ってこない領域の直感は、いくら経験を重ねても精度が上がりません。

迷って決められません

遅い思考で扱うべき判断を速い思考で処理しようとしていることが多い状態です。判断の材料を書き出し、条件を決め、期限を切ってください。決められないこと自体は判断力の欠如ではありません。

競技で判断が遅いと言われます

本番で考えている可能性があります。局面ごとの枠組みを事前に決め、本番では枠組みの外だけを考える形に変えてください。判断の速さは、練習場で決まります。

PRIMARY SOURCES

一次資料と参照先

本章の内容は一般に報告されている知見の要約であり、効果を保証するものではありません。認知機能や睡眠、注意の困難で日常生活に支障がある場合は、練習で対処せず医療機関に相談してください。