小円筋(Teres minor)— 起始・停止・神経支配・作用・触診の完全解剖

SHOULDER / CATEGORY 04

小円筋

Teres minor
起始肩甲骨外側縁上部後面…
停止上腕骨大結節下面…
神経腋窩神経 (C5, C6)
主作用肩関節外旋・肩水平外転補助
ILLUSTRATION / 解剖図

小円筋の解剖学的位置

小円筋 (Teres minor)
小円筋(Teres minor)/肩関節筋群
FUNCTIONAL SCHEMA / 機能スキーマ

小円筋の神経-筋-腱-骨スキーマ

起始から停止への張力線、神経入力、運動出力を進化思考3色で可視化。シアン=感覚入力、オレンジ=協調制御、パープル=統合・進化。

SENSORY INPUT神経入力腋窩神経 (C5, C6)COORDINATION筋腱複合体起始肩甲骨外側縁上部後面停止上腕骨大結節下面INTEGRATION運動出力肩関節外旋・肩水平外転補助小円筋(Teres minor)/肩

SENSORY 神経入力

腋窩神経 (C5, C6)

COORDINATION 筋腱

起始:肩甲骨外側縁上部後面
停止:上腕骨大結節下面

INTEGRATION 運動出力

肩関節外旋・肩水平外転補助

OVERVIEW

小円筋とは

小円筋は回旋腱板(SITS)の最下後方を構成する筋で、肩甲骨外側縁から上腕骨大結節下面に停止します。棘下筋とともに肩外旋の主働を担い、特に肩外転位での外旋(ER90test)で重要。腋窩神経支配のため、Quadrilateral space syndrome(QSS)で三角筋とともに同時麻痺する解剖学的特性を持ちます。

日常生活では肩外旋動作(髪を結ぶ・後方リーチ)で棘下筋とともに動員。スポーツでは投球のlate cocking、水泳のcatch、テニスサーブの外旋位生成で機能。棘下筋より小さく目立たないが、外旋トルクへの貢献度は無視できない。Burkhart & Morgan 1998の研究で投球選手の外旋トルクの30%程度を担うと報告。

臨床的にはQuadrilateral space syndrome(QSS):四辺形孔での腋窩神経・後上腕回旋動脈絞扼。投球選手・バレーボール選手・水泳選手で発症。臨床像:①小円筋単独の萎縮(MRIで確認)、②肩外側の鈍痛・夜間痛、③外旋筋力低下、④肩外側皮膚の感覚異常。Cahillの古典的記載。

ANATOMICAL DATA

解剖学的基本データ

起始 / Origin
肩甲骨外側縁上部後面
停止 / Insertion
上腕骨大結節下面
神経支配 / Nerve
腋窩神経 (C5, C6)
血液供給 / Blood
後上腕回旋動脈
作用 / Action
主作用:肩関節外旋・肩水平外転補助
・肩関節後方安定化
・肩外転時の上腕骨頭求心化
PALPATION

触診法

肩甲骨外側縁上部から大結節下面への走行を辿る。腹臥位で肩90度外転位での外旋抵抗運動で活動を確認。棘下筋下方に位置するが、両者の解剖学的境界は不明瞭。
トリガーポイント:小円筋筋腹(肩甲骨外側縁上部)にTrPが好発。肩後面・上腕後面への放散痛として現れる。
SPORT MOVEMENTS

関連競技動作

  • 野球投球・late cocking(外旋共同)
  • バレーボール・スパイク準備
  • テニスサーブ・back scratch position
  • 水泳・クロールのcatch
  • バスケットボール・shot phase
CLINICAL SIGNIFICANCE

臨床的意義

Quadrilateral space syndrome(QSS):四辺形孔(quadrilateral space)の境界=上:小円筋、下:大円筋、内:上腕三頭筋長頭、外:上腕骨頸。臨床像:①小円筋単独萎縮(MRI fatty infiltration)、②肩外側鈍痛、③外旋筋力低下、④投擲動作で症状増悪。Aoki testで誘発可能。MRIで小円筋fatty infiltrationが診断のkey finding。
GETTA APPLICATION / 思想体系

鍛えるな、育てよ。
小円筋は GETTAで「育つ」。

小円筋は肩単独の筋ではなく、足裏から鳩尾を経由する張力リレーの終点である。GETTAの一本歯が足部に生む微小な不安定性は、骨盤・体幹を経由して肩甲胸郭関節まで到達し、小円筋を中動態的に動員する。鍛えるのではなく育てる——孤立した肩のトレーニングではなく、全身の張力線が同期して肩を「育てる」。五歳の身体性が持っていた肩甲帯の自由度が回復し、腱優位の弾性が回旋腱板の協調を取り戻す。確率共鳴によりノイズが信号化され、小円筋はSFAL/DFAL(上肢前面線)の一本の張力線として全身と共鳴する。
鍛えるのではなく育てる/中動態の身体性/腱優位の弾性駆動
EXAM PREP QUIZ / 国家試験対策クイズ

小円筋・国家試験形式クイズ
鍼灸師 / 理学療法士 / アスレティックトレーナー 各5問

3職種の国家試験・認定試験頻出パターンに準拠した実践問題。クリックで即時採点+詳細解説。

Q1鍼灸師国家試験形式
小円筋(Teres minor)を支配する神経はどれか。
解説
小円筋は腋窩神経 (C5, C6)に支配される。鍼灸臨床では神経走行を踏まえた刺入深度と方向の判断が必須。
Q2鍼灸師国家試験形式
小円筋の起始として正しいのはどれか。
解説
小円筋の起始は「肩甲骨外側縁上部後面」。経穴の取穴と局所解剖の対応が国家試験で問われる。
Q3鍼灸師国家試験形式
小円筋の触診について正しい記述はどれか。
解説
触診法:肩甲骨外側縁上部から大結節下面への走行を辿る。腹臥位で肩90度外転位での外旋抵抗運動で活動を確認。棘下筋下方に位置するが、両者の解剖学的境界は不明瞭。。鍼灸の取穴・刺入で必須の手技。
Q4鍼灸師国家試験形式
小円筋の主作用として最も適切なものはどれか。
解説
小円筋の主作用:肩関節外旋・肩水平外転補助。経穴選定の際、運動機能との連動性を考慮する。
Q5鍼灸師国家試験形式
一本歯下駄GETTAが小円筋に与える影響として、東洋医学的観点から最も適切な記述はどれか。
解説
GETTAは小円筋を「鍛える」のではなく「育てる」。中動態的な張力発生=陰陽の動的バランス。確率共鳴により微細な気血の流れが増幅される。
鍼灸師スコア— / 5
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RELATED MUSCLES

関連筋

DEEP FUNCTIONAL ANATOMY / 深部機能解剖

小円筋の深部機能解剖学

AT/PT国家試験レベルの深部機能解剖。アナトミートレイン理論・二関節筋協調制御・キネティックチェーン理論・最新エビデンスを統合した、本筋の完全な機能解剖学的位置づけ。

アナトミートレイン(属する筋膜連結線)

属する線:Deep Back Arm Line (DBAL) — 深後腕線

線内での役割:DBAL最後下方の補助外旋筋。棘下筋とともに肩関節後方の動的安定化を担う。腋窩神経支配(三角筋と共通)のため、Quadrilateral space syndrome(QSS)で同時麻痺する。

機能的意味:DBALの「Auxiliary external rotator」。棘下筋と共同で外旋・後方安定化を担う補助筋。

筋膜連結(連動する組織)

  • 棘下筋: 外旋ペア
  • 三角筋(後部): 腋窩神経共通支配
  • 上腕三頭筋長頭: 四辺形孔の境界
  • 大円筋: 四辺形孔の下境界
  • 回旋腱板(SITS)の最後下方

キネティックチェーン(運動連鎖機能)

Open Kinetic Chain(OKC):OKCで投球late cocking、テニスサーブback scratch、水泳catchで棘下筋と共同活動。

Closed Kinetic Chain(CKC):CKCで肩関節後方の動的安定化に貢献。

上肢機能における役割:Upper Quarterで「External rotation auxiliary」。投球選手の外旋トルクの30%程度を担う(Burkhart 1998)。

パワー伝達:肩甲骨外側縁→小円筋→大結節下面という線で、外旋トルクを伝達。

単関節筋としての協調制御

関与関節:肩関節

協調メカニズム:棘下筋との「External rotation duo」を形成。van Ingen Schenau理論で、棘下筋(主動)と小円筋(補助)の分業協調が後方安定化を実現。

拮抗ペア:肩甲下筋・大胸筋

筋の協調(Synergy & Force Couple)

共同筋(Synergists)

  • 棘下筋: 外旋主動ペア
  • 三角筋後部: 腋窩神経共通・外旋補助
  • 棘上筋: 回旋腱板共同
  • 肩甲下筋: 直接拮抗だが安定化共同

拮抗筋(Antagonists)

  • 肩甲下筋: 直接拮抗(内旋)
  • 大胸筋: 内旋
  • 大円筋: 内旋・四辺形孔ペア

フォースカップル

小円筋+棘下筋 = 「External rotation duo」。小円筋+三角筋後部 = 「腋窩神経支配ペア」。QSSで両者同時麻痺するため、機能評価では両者を併せて評価する必要がある。

AT/PT 国家試験対策・臨床学習

頻出キーワード

Quadrilateral space syndrome (QSS)Hornblower signAoki test腋窩神経の解剖四辺形孔の境界Teres minor fatty infiltrationCahill’s classification

臨床評価テスト

  • Hornblower sign — 90度外転位で外旋不能、ホルン奏者の姿勢
  • External rotation lag sign at 90度abduction — 小円筋特異
  • Aoki test — QSS誘発テスト
  • Quadrilateral space palpation — Tinel sign
  • MRI assessment — teres minor fatty infiltration(QSS診断のkey)

機能不全パターン

Quadrilateral space syndrome(QSS):四辺形孔での腋窩神経・後上腕回旋動脈絞扼。境界=上:小円筋、下:大円筋、内:上腕三頭筋長頭、外:上腕骨頸。臨床像:①小円筋単独萎縮(MRI fatty infiltration)、②肩外側鈍痛・夜間痛、③外旋筋力低下、④投擲動作で症状増悪、⑤肩外側皮膚の感覚異常。Cahill 1983の古典的記載。投球選手・バレーボール選手・水泳選手で好発。

リハビリテーション戦略

QSS保存療法:①投擲動作の制限、②活動修正、③NSAIDs、④腋窩神経モビライゼーション、⑤scapular function training。改善不良なら外科的減圧(neurolysis)。小円筋単独評価はHornblower signで実施。

Clinical Pearls(臨床的真珠)

  • Hornblower signは小円筋特異テスト
  • QSSはMRIでのteres minor fatty infiltrationが診断のkey
  • 小円筋と三角筋は腋窩神経共通支配のため同時評価

エビデンスベース(主要文献)

  • Cahill BR, Palmer RE 1983: QSSの初記載と治療
  • Hangody L et al. 1987: 四辺形孔の解剖学的研究
  • Lester B et al. 1999: Hornblower signの感度・特異度
  • Sofka CM et al. 2004: QSSのMRI診断
徒手療法エビデンス:四辺形孔周辺の筋膜リリース、腋窩神経モビライゼーション、肩関節後方関節包モビライゼーション。
運動処方の科学的根拠:小円筋強化:①等尺性ER at 90度abduction→②同心性ER(Hornblower position)→③偏心性→④機能負荷。QSS術後リハビリは段階的strengthening。

筋膜的連結・固有受容覚的役割

筋膜的連結:小円筋筋膜は肩甲骨外側縁から大結節下面に至る。四辺形孔(QSS)の上境界を形成し、上腕三頭筋長頭・大円筋・上腕骨頸とともに腋窩神経の通路を構成。腋窩神経は小円筋と三角筋を支配するため、QSSで両者が同時に侵される。

固有受容覚的役割:肩関節後下方の位置覚に寄与。棘下筋と共同で投球時の精密制御に関与。QSS症例では小円筋proprioception低下が報告されている。

小円筋とは — 一文の定義

小円筋(Teres minor)とは、肩甲骨外側縁の上部後面から起こり上腕骨大結節の下面に停止する、回旋腱板(SITS)の一員である。主作用は肩関節の外旋で、外転時に上腕骨頭を関節窩へ引き寄せて求心位に保つ“ヘッドセンタリング”を担う。

小円筋の基本データ — 用語辞書

起始 / Origin

肩甲骨外側縁の上部後面。

停止 / Insertion

上腕骨大結節の下面(後下方の面)。腱は関節包に癒合する。

神経支配 / Innervation

腋窩神経(C5–C6)。後神経束の枝で四辺形間隙を通る。

血液供給 / Blood supply

後上腕回旋動脈・肩甲回旋動脈。

主作用 / Action

肩関節の外旋・水平外転補助。回旋腱板として上腕骨頭を求心化し後方を安定させる。

回旋腱板 / Rotator cuff

棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋(SITS)の総称。骨頭を関節窩に圧着させて安定させる。

小円筋・よくある質問

小円筋と大円筋はどう違うのですか?

小円筋は外旋筋で回旋腱板の一員、腋窩神経(C5–C6)支配です。大円筋は内旋筋で回旋腱板には含まれず、下肩甲下神経支配です。位置と名前は似ていますが、作用も神経も逆方向と覚えると整理できます。

小円筋は回旋腱板に含まれますか?

含まれます。回旋腱板は棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋の4筋(SITS)で、小円筋は棘下筋とともに後方の外旋・骨頭求心化を担います。

小円筋の神経支配は何ですか?

腋窩神経(C5–C6)です。腋窩神経は四辺形間隙を後上腕回旋動脈とともに通過し、小円筋と三角筋を支配します。

四辺形間隙症候群とは何ですか?

四辺形間隙(小円筋・大円筋・上腕三頭筋長頭・上腕骨外科頸で囲まれる隙間)で腋窩神経や後上腕回旋動脈が絞扼される病態です。小円筋の萎縮や後肩の鈍痛、外旋筋力低下を生じることがあります。

小円筋が弱るとどうなりますか?

肩外転時の骨頭求心化が破綻し、上腕骨頭が上方へずれてインピンジメント(挟み込み)を起こしやすくなります。投球障害肩やローテーターカフ機能不全の評価で重視されます。

小円筋を活性化させる運動は?

肘を体側につけた状態での外旋(チューブやダンベルでの external rotation)が代表的です。骨頭を関節窩に引き寄せる感覚を意識すると、求心化の働きを引き出せます。

小円筋の触診のコツは?

肩甲骨外側縁の上部後面から大結節下面へたどると、棘下筋の下方に細い筋腹として触れます。抵抗下の外旋で収縮を確認します。

一本歯下駄GETTAは肩の安定にどう関わりますか?

一本歯下駄での歩行は全身の固有受容を高め、体幹から肩甲帯への連動を通じて回旋腱板の協調を引き出します。肩を単独で固めるのではなく、足裏から始まる連鎖のなかで骨頭の求心化を促す発想です。

小円筋は“締める”のではなく、“求心化させる”。

回旋腱板の本質は力ではなく位置の制御だ。感覚入力=関節包と腱の固有受容、協調制御=棘下筋・肩甲下筋との力の対(フォースカップル)、統合=骨頭を関節窩中心へ収める求心化。小円筋はこの最終段で働く。

一本歯下駄GETTAの一本歯は確率共鳴のノイズとなり、微弱な姿勢信号を増幅して小脳的な無意識制御を呼び覚ます。締めて固める肩から、整って収まる肩へ——中動態的な安定がここに宿る。

学術参考文献(一次・権威ソース)

  1. Teres minor muscle(Kenhub) Kenhub
  2. Anatomy, Shoulder and Upper Limb, Teres Minor Muscle(StatPearls) NCBI StatPearls
  3. Anatomy, Rotator Cuff(StatPearls) NCBI StatPearls
  4. Anatomy, Shoulder and Upper Limb, Nerves(StatPearls) NCBI StatPearls
  5. 肩関節・回旋筋腱板に関する文献(国立国会図書館サーチ) NDL Search
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