肩甲挙筋
肩甲挙筋の解剖学的位置

肩甲挙筋の神経-筋-腱-骨スキーマ
起始から停止への張力線、神経入力、運動出力を進化思考3色で可視化。シアン=感覚入力、オレンジ=協調制御、パープル=統合・進化。
SENSORY 神経入力
肩甲背神経 (C4, C5)・C3-C4前枝
COORDINATION 筋腱
起始:C1-C4横突起
停止:肩甲骨上角
INTEGRATION 運動出力
肩甲骨挙上・下方回旋・頸部側屈
肩甲挙筋とは
肩甲挙筋はC1-C4横突起から肩甲骨上角に走行する細長い筋で、肩甲骨挙上の主役。Janda上交差症候群で短縮する代表筋。Texting neck(スマホ世代の頸部痛)の中核病態。
日常生活では肩すくめ動作・頸部側屈で動員。Forward head posture(前方頭位)で持続的に短縮し、頸肩こりの最大原因の一つ。
臨床的にはLevator scapulae syndrome:肩甲骨上角部の慢性的鈍痛、頸部回旋制限。Forward head posture病態の中核筋。Texting neck(スマホ首)の主犯筋。
解剖学的基本データ
触診法
関連競技動作
- 頸部側屈・回旋を伴う競技
- ボクシング・頭部位置決め
- レスリング・組み付き
- 水泳・呼吸時の頸部動作
臨床的意義
鍛えるな、育てよ。
肩甲挙筋は GETTAで「育つ」。
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関連筋
肩甲挙筋の深部機能解剖学
アナトミートレイン(属する筋膜連結線)
属する線:Lateral Line(頸部成分)
線内での役割:頸部側方の機能筋。Janda上交差症候群短縮筋。Texting neck の中核病態筋。
機能的意味:Lateral Lineの「Cervical lateral anchor」。
筋膜連結(連動する組織)
- 上部僧帽筋: 肩甲骨挙上協働
- 大小菱形筋: 共通支配
- 深層頸屈筋: 拮抗
- 前斜角筋: 頸部側屈共同
キネティックチェーン(運動連鎖機能)
Open Kinetic Chain(OKC):OKCで肩すくめ・頸部側屈で動員。
Closed Kinetic Chain(CKC):CKCで頸部姿勢制御(特にforward head posture)で過活動。
上肢機能における役割:頸部側方制御の中核。
パワー伝達:C1-C4横突起→肩甲挙筋→肩甲骨上角という線。
単関節筋としての協調制御
関与関節:頸椎, 肩甲胸郭関節
協調メカニズム:上部僧帽筋との「Shoulder elevation couple」。深層頸屈筋との拮抗。
拮抗ペア:深層頸屈筋・下部僧帽筋
筋の協調(Synergy & Force Couple)
共同筋(Synergists)
- 上部僧帽筋: 肩甲骨挙上
- 菱形筋: 共通支配
- 前斜角筋: 頸部側屈
拮抗筋(Antagonists)
- 深層頸屈筋
- 下部僧帽筋: 肩甲骨下制
フォースカップル
肩甲挙筋+上部僧帽筋+前斜角筋 = 「Upper crossed short triad」(Janda)。
AT/PT 国家試験対策・臨床学習
頻出キーワード
臨床評価テスト
- Resisted shoulder shrug
- Cervical lateral flexion strength
- Forward head posture assessment
- Texting neck evaluation
- Tinel sign at dorsal scapular nerve
機能不全パターン
Levator scapulae syndrome:肩甲骨上角部の慢性的鈍痛、頸部回旋制限。Forward head posture:肩甲挙筋短縮+深層頸屈筋弱化のパターン。Texting neck:スマホ世代の頸部痛、肩甲挙筋過緊張が中核。
リハビリテーション戦略
肩甲挙筋stretching+深層頸屈筋strengthening(chin tuck)+下部僧帽筋強化。Janda上交差症候群矯正プログラム。
Clinical Pearls(臨床的真珠)
- 肩甲挙筋はTexting neckの主犯筋
- Forward head posture の中核病態筋
- Janda上交差症候群短縮筋
エビデンスベース(主要文献)
- Janda V 1988: Upper crossed syndrome
- Falla D et al. 2004: Deep cervical flexor weakness
- Hanten WP et al. 1991: Levator scapulae stretching
筋膜的連結・固有受容覚的役割
筋膜的連結:肩甲挙筋筋膜は頸部後外側筋膜と統合。Lateral Lineの頸部中継器。
固有受容覚的役割:頸部側方・肩甲骨位置覚のproprioceptive contributor。
EIGHT PILLARS / 思想体系の入口
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DEFINITION肩甲挙筋とは
FREQUENTLY ASKED QUESTIONS肩甲挙筋 よくある質問
肩甲挙筋の起始と停止はどこですか?
起始は第1~第4頚椎(C1~C4)の横突起後結節です。停止は肩甲骨の上角、および肩甲骨内側縁の上部(上角から肩甲棘基部までの範囲)です。筋線維は頚部から外下方へ斜めに走行します。
肩甲挙筋を支配する神経は何ですか?
主に肩甲背神経(C5由来、腕神経叢から分岐)が支配します。加えて第3・第4頚神経の前枝(C3・C4)が直接枝を出して支配に関与します。肩甲背神経は中斜角筋を貫いて肩甲挙筋と菱形筋の深層を下行します。
肩甲挙筋の作用(働き)を教えてください。
肩甲骨を挙上する(持ち上げる)のが主作用です。さらに肩甲骨を下方回旋させ、関節窩を下方へ傾けます。肩甲骨を固定した状態では、片側の収縮で頚部を同側へ側屈させ、わずかに回旋する作用もあります。
肩甲挙筋にはどこから血液が供給されますか?
主に頚横動脈(transverse cervical artery)から血液が供給されます。これに加えて頚部の上行頚動脈などからの枝も関与するとされます。いずれも鎖骨下動脈系に由来する血管です。
肩甲挙筋が硬くなると、どんな不調が起きますか?
首の付け根から肩甲骨上角にかけての痛み・こり、首を回しにくい可動域制限、緊張型頭痛などが生じやすくなります。肩甲挙筋には肩甲骨上角の直上付近に索状の硬結(トリガーポイント)ができやすいことが知られています。
なぜスマホやデスクワークで肩甲挙筋が緊張するのですか?
画面をのぞき込む前方頭位(forward head posture/texting neck)では、前方へ落ちる頭を支えるため後頚部の筋が持続的に働きます。肩甲挙筋は伸張位のまま共収縮を強いられ、結果として過緊張・短縮を起こしやすくなります。
肩甲挙筋と僧帽筋上部はどう違いますか?
両者とも肩甲骨を挙上しますが、肩甲挙筋は深層にあり肩甲骨を下方回旋させるのに対し、僧帽筋上部は表層にあり肩甲骨を上方回旋させます。肩甲挙筋の下部は僧帽筋に覆われており、触診しにくい位置にあります。
肩甲挙筋の緊張をやわらげるには何が有効ですか?
前方頭位の改善(頭を肩の真上へ戻す)と、肩甲骨を安定させる運動が基本です。GETTAの視点では、足裏から鳩尾へと軸を通し、筋で固める使い方から腱優位の中動態へ移すことで、首肩の過緊張がゆるむと考えます。痛みが強い場合は専門家に相談してください。
KEY TERMS重要用語の定義
肩甲骨上角(superior angle of scapula) — 肩甲骨の内側縁と上縁が交わる上端の角。肩甲挙筋が停止する部位で、トリガーポイントの好発部位でもある。
肩甲背神経(dorsal scapular nerve) — 腕神経叢のC5神経根から分岐する運動神経。中斜角筋を貫き、肩甲挙筋・大小菱形筋を支配する。
頚横動脈(transverse cervical artery) — 鎖骨下動脈系(甲状頚動脈幹など)から起こる動脈で、肩甲挙筋や僧帽筋・菱形筋へ血液を供給する。
下方回旋(downward rotation) — 肩甲骨の関節窩が下を向くように回る運動。肩甲挙筋と菱形筋が協働して生じさせる。
前方頭位(forward head posture) — 耳が肩より前方に位置する姿勢。スマホ・PC使用で増え、肩甲挙筋など後頚部筋の持続的緊張を招く。texting neckとも呼ばれる。
トリガーポイント(trigger point) — 筋内に生じる過敏な硬結。肩甲挙筋では肩甲骨上角の直上に好発し、首肩へ関連痛を放散する。
REFERENCES参考文献・一次資料
- Kenhub — Levator scapulae muscle: Origin, insertion, innervation, action
- StatPearls (NCBI Bookshelf) — Anatomy, Head and Neck, Levator Scapulae Muscles
- StatPearls (NCBI Bookshelf) — Anatomy, Shoulder and Upper Limb, Dorsal Scapular Nerve
- コトバンク — 肩甲挙筋(けんこうきょきん)
- ウィキペディア(日本語版)— 肩甲挙筋
- Bhatia DN ほか「Levator scapulae action during shoulder movement」(CiNii Research)